「おーい!ちゃんちゃん!」
イタリアがぶんぶん手を振って駆けてくる。
空が青いなあ、もう春なんだなあ、今日も元気だなあ。といっぺんに三つのことを考えてから、おおい、って手を振り返した。すると、イタリアの顔が目に見えて明るくなる。
夏も似合うけど、春も似合う人だなって考えて笑う。イタリアのまわりに飛んでるお花が見えるような気がした。今日の陽気みたいに、かわいくって優しい人!そうでしょう、君?
「こんにちはー!聞いて聞いて!俺、すっごくいいこと思いついたんだー!」
おいでおいでって手招きして、内緒のお話。耳元でひそひそって話すので、くっすぐったい、と言ったらイタリアもくすぐったそうに笑い声を上げた。
あのねあのね、って一生懸命お話しする様子は子供みたいだ。
なあに?あのね、ごにょごにょごにょ!
「それ、いいね!いいよ!ナイスアイデアだよイタリア!」
「でしょー俺すごい?俺すごい?」
「すごい!」
えっへんと胸を反り返らせたイタリアに笑ったら、イタリアも例の気の抜けるような笑い声を出した。
「じゃあさっそくドイツのとこ行こうよ!」
「うん!それからおやつ持ってー、日本のとこ行こ!」
「とっても楽しみ!」
「俺も俺もー!さっきね、日本には言っといたから、おべんと用意してくれるってー!」
「ほんと?でやったあ!日本のおべんと美味しいもんなあ!」
「あとね、えーとえーと…サクラモチ?も作ってくれるって!ねえちゃんそれって美味しいのー?」
「とっても!」
ヴェー、と言ってイタリアが笑った。笑うと目がなくなる君の顔。一等春めいている。
「みんなでお花見なんてほんと楽しみ!」
「ドイツ来るかなー!」
「引張って行きゃいーのよ!」
「ちゃんたのもしー!」
「おっはなみおっはなみ!」
「お花見ー!」
二人分の笑い声がこだまする。
ようこそここは春の国。
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