「、ポーランドが来なかった!?」
慌てた様子で駆け込んできたリトアニアに、は目をぱちくりさせて、ははあ、また何かポーランドがしでかしたのかしら、って少し笑う。あんまりリトアニアが息せき切っているものだから、ねえどうしたの?お茶でも飲む?と彼女が聞くと、彼は「ありがとう」といつものあのふわりとした笑顔を見せた。
「はいどうぞ。」
ちょうどお茶の時間でよかった。こっそり息を吐いて、がティーカップを差し出す。一気に飲み干して、少し照れくさそうにおかわり、と言うとリトアニアは深く息を吐いた。
「今度はポーランドったら何したの?」
「…家中の壁をピンクに塗るんだーってペンキ買いに…電話で聞いて止めようと思ったんだけど見当たらなくってさ…どっかで寄り道してるんじゃないかと思ったんだけど…。」
「見つからないのね?」
「そう。」
おかわりの紅茶に、今度はちゃんといちど匂いを嗅いでからリトアニアが口に含む。も一口、口に運んだ。ふうわりとあまやかな香りが立つ。ああこの紅茶って少しリトの髪の色に似てるわ、そう気がついてにっこりすると、リトアニアは不思議そうに首を傾げていた。
「なんだかんだで人見知りだから、そう行くところもないはずなんだけど…。」
「イタリアのところは?」
「電話かけたら留守だったんだ。」
「そう…。」
ポーランドの家がまっピンクに染まったところを二人して想像してしまって、あーあ、と溜息を吐く。派手なピンクの家。とても趣味がよろしくない。
「リトも大変ね。」
「…まあね。」
ふふふと顔を見合わせて笑ったら、春の日差しがうらうら照れてる。
「これ飲み終わったら一緒に探しに行こう?」
私だってピンクのお家に遊びに行くのいやだもの、ってが笑うと、リトアニアが顔中ほころばせてわらった。
「ありがとう。」
ああドキドキした。はこっそり肩をすくめる。春の日差しはもう明るくて、新しい帽子被っていこう、そう考える。
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