「…、なぜお前がこいつらと共にいる?」
ルーファスの問いには答えなかった。
ただ、縋るように、真剣にルーファスを見つめて、「ルーファス、セフィロスは、生きてるのね。」とだけ尋ねた。それだけでいっぱいだったのだ。
ルーファスはなるべく平静を装って、「…そうだ。」と答えた。
ルーファスは息が詰まる。ついにこの時が来たのだ。
意識の枢軸が恐ろしいほどに冷えてゆく。悲しいほどに。
いつか来るとはわかっていた。見てみろ、この子の頭にはもう彼以外のものがなくなってしまった。ルーファスのたいせつに積み上げた思い出も、何もかも、あのたったひとりの比重には敵わないというのだ。わかりきっていたことだ。最初から。(それでも、それでも私は。)
「だがもうあれはお前のセフィロスではない。セフィロスは死んだ。なぜお前が出てゆく必要がある?
セフィロスはお前を殺すだろう」
矢継早に言葉を吐き出すルーファスに、は力無く笑ってみせた。
「…それでも、。」
行くのだ、と目が告げている。
ルーファスは形の良い眉を顰めた。彼は怒っている。
、セフィロス、自分、いったい誰に?もちろん、すべてだ。彼はすべて許せない。一番自分が許せない。だからこの子は許そう。彼のことは知らない。許す許されるその域を彼は逸脱している。あれは人間ではない。
「行かなきゃ。私。呼ばれてるから。」
「行くな。」
反射的にそう言って、ルーファスはとても困った顔をした。彼は彼はこういった理性によらない行動に慣れていない。
が戸惑いがちに、けれども、真っ直ぐに、ルーファスを見る。緑の睛。黒い髪。
「…お前は大切な、」
ルーファスはそこで一瞬言葉に迷った。迷ってはいけなかった。もう言葉は続かない。
ルーファス、君は頭がよすぎたね、残念ながら。
「 サンプルだ。…許すわけにはいかない。」
ほら、あの子が泣きそうな目で君を見てる。見えてるだろ?
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