殺されてしまった。目の前で人が倒れる。
なんてこと。私はただの通りすがり。
黒スーツの男があっちゃあ、と頭を掻く。
「あんた運が悪いとこに通りかかっちまったな、と。」
「あ、あ、あ!な、なんだってこんな酷いことできるんです!?」
「仕事だからな、と。俺はこう見えて真面目なんだぞ。」
「あんた真面目ってねえ…!!!こんな仕事許されるわけ!」
男はポカンと口をあけてそれから至極愉快そうに肩を揺らして笑い出した。その肩の上で跳ねるのはあの奇妙な棒だ。青い電気が絡み付いていたさっきの。
「あんたいいとこのお嬢さんだろ、と?」
質問の意図がつかめない。
「そんなことないですよ!」
「パパは優しくてママは美人で料理上手だったかい?」
「は?」
「夜眠る前に神様にお祈りは?と。」
「…しましたよ。」
「じゃあほら、」
に、と男の口端が持ち上がる。
「やっぱりあんた良いとこのお嬢さんだぞ、と。」
男が笑う。至極愉快そう。足元の骸が悪い夢のよう。
「あんた世界が2つ以上あるなんて知らないだろ?」
ニヤニヤ笑って男が後ろをむく。そのときにはもう私は。
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さあどうぞお祈りを
(黄泉路のため) |
20071223 |