「(…ああ!)いけない!待って!待つんだ、セフィロス!」
幻のように遠ざかる背中に、は思わず叫んだ。 ああ、伝えなくちゃ。思いばかりが先走る。
「きみにはちゃんと、母親がいるよ!ジェノバなんかじゃない!きみの、ははおやは、ちゃんと、人間だ!待ちなさいセフィロス!聞くんだ!」
セフィロスの耳はもうなにも聞かない。母親の呼び声だけ聞いている。自らの声だけ響く。それからなつかしい ささやきと。
それだけだ。 それでも彼女はその背中いっぱいに叫んだ。
違う違う違う!きみは勘違いしている!
「きみを生み出した理由もその過程も、間違いだったかもしれない、でも!それでも!」
あの人のほほえみを思いだす。セフィロス、きみに見せてあげたい。
「彼女はきみをあいしていた!あいしていたんだ!」
(すべてのひとのこうふくのために、この子はうまれてくるの。)(あああのほほえみ!)(あなたは賢過ぎたね、 それゆえに誤った。そのためにその眼は曇った。それでもあなたは。)(あいしていたね、すべてを?)
「私はきみを知ってるよ!きみが生まれる前から!きみは!ルクレツィアの!!」
ああもう届かない。
百年目の真実
20070330