目が覚めると、談話室は暗かった。暖炉の橙色の灯りがぱちぱちと音を立てているけれど、どうやら消灯時間を過ぎているようだ。
課題が終わらない! と羊皮紙やら教科書を乱雑にテーブルに並べて悶々している間に眠ってしまったらしい。
「やっと起きた」
隣から声がして、ん? とそちらを見ると、リーマスがソファに凭れながらこちらを見ている。
「リーマスだ」
「うん。寝ぼけてるの?」
「ちょっとね」
にひひ、とは笑った。リーマスは呆れ顔で、もう日付変わっちゃったよ、と言いながら、テーブルに散乱する羊皮紙や教科書を丁寧に纏め出した。悪いねえ、と言いながら、は背伸びする。腕時計を見ると、針は二十四時三十分あたりを指している。
「リーマスは、何やってたの」
「が起きるの待ってたの」
「ふーん。何か用事あった?」
今度こそ、心底呆れたような顔でリーマスがの顔を覗き込む。ああ、リーマスの目、綺麗だなあ、なんて思っていると、君ってほんとに莫迦だよね、とリーマスの形の良い、薄い唇が言う。
「そりゃさ、監督生で成績の良いリーマス・J・ルーピンくんよりはちょっとだけ莫迦だけど、」
「ちょっとじゃなくて大莫迦だよ」
「なに、リーマスいつにも増してひどくない」
莫迦莫迦言われて何のプレイなんだ、とが眉を下げると、リーマスは溜息を一つ零して、に一つの球体を差し出した。ご丁寧に赤いリボンを巻かれた球体である。がぼんやりそれを眺めていると、リーマスは強引に手を引っ張ってそれを掌に乗せた。
「これ何? ボール? これでシリウスと遊べってこと?」
犬になったシリウスを頭に思い浮かべながら言うと、違うよ、とリーマスは言う。リボン解いて。そう言うので、は大人しくリボンをしゅるりと解いた。
すると球体はぽんっと音を立てて弾け、中から綺羅綺羅した紙吹雪が吹き出し、白い小鳥が飛び出し、それから色とりどりのお菓子が飛び出て、とリーマスが座るソファーを鮮やかに彩る。
「え、え、すごい、きれい、リーマス、」
「君さ、今日が自分の誕生日って知ってる?」
「あ、」
「ほらね、大莫迦だ」
リーマスはくすりと微笑んだ。はへにゃりと顔を微笑ませて、豪快にリーマスに抱きついた。
ちちち、と小鳥がの肩にとまり、"Happy birthday! Hope you have wonderful birthday and enjoyment!!"と囀った。
HAPPY BIRTHDAY SHICHIMI-SAN!!!!!
君さ、もっとムードのある抱きつき方出来ないの?
だってすっごく嬉しかったんだもん!
from anoneco :)
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