その人は変わらずそこにいて、いつもしずかにわらっている。
土方がそこへ行く度に、ももいろの日光がいっぱいに当たる縁側に座って、庭の緑に目を細めていた。
庭先から土方が草木を 掻き分けて庭の方へ入って行くと、だいたい彼女は庭の手入れをしているか、猫と縁側で丸くなっているかのどちらかだ。その姿を見る度に、彼は全身から真撰組の土方十四郎が抜けていくのを感じる。
そう、彼女に会いに来る人間はただの土方十四郎なのだ。
「こんにちは、土方さん。」
「…こんにちは。」
土方は少し泣きそ うに下を向いて笑った。
「そろそろ来る頃かなぁ、って思ってたんですよ。」
は鬼まで溶かしてしまうような笑みでわらう。縁側から裸足のまま、は降りてくると土方に駆け寄ってきた。
にこにこしながら土方を真っ直ぐに見ている。土方も片頬だけで笑って見せると、ゆっくりと縁側へ歩いた。
ローマン・ホリディ
20070513/俳句仲間。