ギクリと凍り付いたように美鶴くんが動かなくなってしまった。一点を見つめたまま、みるみる顔を青ざめて美鶴くんは静止し続ける。呼吸も瞬きも、忘れてしまったようだった。
まるで白い大理石の彫像のよう。ほんの少し青ざめた冷たい石の表面を思い出して私は不安になる。

「美鶴くん?」
美鶴くんはぴたりとも動かない。凍り付いてしまっている。
「美鶴くん?ちょっと、どうしたの?大丈夫?」
どこか具合悪い?その言葉に美鶴くんは真っ青な顔でよろよろと首を振った。
その目は私を見ていない。

恐怖のような驚きに、目は見開かれている。こんな町中で、まるで幽霊でも見たような、顔。

ふとすれ違った青年がぽつんと呟いて足を止め、振り返る。


「…芦川?」

「え?…っわ!」

それに私が顔を上げるのと美鶴くんが私を突き飛ばして走り出すのとそのちょうど私と同じくらいだろう、男の子が叫んだのは同時だった。

「ちょ!待て!お前なんだろ!?待てってば!!」












「ミツル!!!」








14.おいてけぼり