、、ってリーマスが、突然声を潜めて手招きするので、はなんだか内緒話みたいだ、と懐かしい気持ちになって椅子ごとリーマスの近くに移動すると耳を寄せた。リーマスがあたりを窺うようにそおっと見渡して、誰もいないのに、誰にも聞こえないように、大きな手のひらでの耳を覆う。
「ちゃんと聞こえる?」
リーマスが茶目っ気たっぷりにそんな風に言うので、はくすぐったい、と素直に言った。そうしたらリーマスがごめん、と素直に謝ったので意外だ、と少し驚いて(今日のリーマスには驚かされっぱなしだ。)彼のほうを見ると、なんだか少し、改まった顔をしたリーマスがいたので、ぱっと目を背けて耳に集中することにした。なんだかリーマスが緊張しているのが伝わってきたのだ。
(変な感じ。)
頭の隅っこで小さくは笑った。
「シリウスは無実だったよ。」
が目をこれ以上ないくらい大きく開いてリーマスを見る。でも何か言う前に、リーマスが、そして現在見事に逃亡中だ、と続けたので「そ、そう。よかったー!」となんだか間抜けな返事を返してしまった。おかしいな、シリウスが無実か否かでリーマスと凄まじい喧嘩をした覚えがあったのだけれど。よかったねシリウス、私は信じてたよ!(リーマスめ、都合よく忘れているな。)
「ハリーは元気だよ。ヴォルデモートに狙われてるけど。」
「そ、そう。よか、った、のか?あれ?」
はあんまり驚きすぎて混乱してきた。うん、確かにリーマスからの手紙にそんなことがちゃんと書いてあった。
「僕は狼人間で、つい先日無職に戻ってしまった。貧乏教師から、ただの貧乏になっちゃった。」
「うん。知ってるよ。」
はしっかりと頷く。
知ってるよ、ぜんぶ。他でもない、君のこと。
「君は魔女で、魔法薬の研究をしてて、お金がない。」
「わるかったなあ。」
それにリーマスがくすくすと笑う。耳元で笑われると、どうにもくすぐったい。なんだなんなんだ結局何が言いたいんだリーマス現状確認か、が何か言ってやろうしたときだ。リーマスがもっともっと小さな声で言った。
世界は暗くて友人は無実の罪で逃亡中で友人の息子は闇の魔法使いに狙われてて僕は魔法使いの狼人間で君は魔女でそして僕たちは貧乏でだけどたくさん思い出があって今があってきっとこれからもあってそれで、
(うん、リーマス、それは、とても、すてきな、試みだと、おもうよ!)
(本当にそう思う?)
(もちろん!)
晴れたら
日向でワルツを
あなたと
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