十三


 そうめんとウィンナーと甘く炊かれた人参とゴボウのきんぴらと卵焼きとめざしとピーマンの肉詰めのピーマンだけと海苔と白米と具のないカレーと紅ショウガと梅干しと裂けるチーズ、を乗せたというよりも、最早それらにちょこんと乗ったパン、を谷内は結局途中何度か涙ぐみながら完食して、午後中保健室のお世話になった。
 疲れた1日だった、と燃え尽きそうになりながら、佳主馬は鞄に教科書をしまう。
 昼休みが終わってもなお、きょとんとしっぱなしだったも、ようやくのろのろと帰る準備を始めるようだ。
さんまたねぇ!」
「裂けるチーズありがとうー!!」
 部活へ向かう面々が元気に外へ飛び出してゆく。やっぱりは、きょとんとそれを見送っていた。隣で帰る準備も済ませてさっさと席をたった佳主馬は、しかしやはり一拍置いてからを見下ろした。

「…さよなら。」

 バイバイと言うには親しくなさすぎた。そもそも彼は、あまりその別れの挨拶を使わない。使っても「じゃあな、」とか「じゃあ。」とか「またな、」とか、そう言った言葉少ないものの方が多い。
 は朝の挨拶と同じで、一瞬自分に向かって言われた言葉だと理解できなかったようだ。少し間が空いて、それからその間をとり返すように慌てた返事が返ってくる。
「さ よなら!」
 ちょっと笑って佳主馬は教室を出た。
 少林寺の教室、今日は調子がいいだろうと漠然と思った。