二十五


 文化祭の二日目も三日目も、は学校へこなかった。

 クラスの出し物、『キングに挑戦!』は大盛況を極めた。
 クラス全員が、人数の多い順に、モブ兵、一般兵、闘う!メイドさん、騎士団、四天王、右大臣・左大臣、王様、に分けてランク分けされている。挑戦者は、200円払ってランクの低い方から順に、OZのバトルゲームで対戦する。順調にすべてのランクの相手を一人ずつ倒していくと、最後には見事、ほんものの『王様』に挑戦できるというものだ。最初佳主馬は相当嫌がったが、さんだって引き受けてくれたのにい!という女子たちの口やかましい攻撃に、やがて本当にいやいや、しぶしぶ折れた。
 寄らば斬る、と言わんばかりの憮然とした表情で、教室に設置された衝立の裏に待機させられていた佳主馬だったが、予想外に四天王がねばり強く挑戦者を蹴散らし、右大臣・左大臣の二名が鉄壁のガードを見せたために、彼の出番は結局一度も回って来なかった。
「池沢ー!二日間誰もお前まで到達させなかったら俺とあとで闘ってくれ!」
 と目をキラキラさせる左大臣、西田を適当にあしらって、佳主馬は後半ほとんど、他のクラスの出し物を冷やかしたり、出店で買った焼きそばを食べたりと、結構文化祭を満喫した。
 のランク分けは『モブ兵』だったので、いてもいなくても、困ることはあまりなかった。来るかもしれない、と言って岡山たちの買い置きした焼きそばや林檎飴は、結局最終日の夕方にみんなで食べた。
 一度佳主馬がメールを送ってみたけれど、返事はない。
 盛況だった出し物は結構な稼ぎが出たので、打ちあげはみんなで焼き肉に行った。
 つい二日前に食べ過ぎたことをちょっと思い出して胃もたれしそうな佳主馬とはうらはらに、岡山は元気にご飯と肉をかきこんでいる。やはり、化け物だ。

 文化祭が終わって最初のホームルームで、「軽い栄養失調と極度の貧血、睡眠不足だそうだ。大事をとって検査入院、ということらしい。」と担任からしばらくが休むという報告があった。
 また空いてしまった隣の席をなんとなく見下ろしながら、病院ではちゃんとごはん食べてるだろうか、と、佳主馬は少し、考える。