Whoooooo!
「んっ、ん?・・・んわ!」 行儀悪く口に咥えていたままの箸は、の口から滑り落ち花柄の炬燵ふとんに染みを作った。二本の箸は傾斜をころころと転がり、そのままフローリングの床の向こうに消えていく。奇声を上げたは片手で箸を追いつつ、もう片方の腕を炬燵の中に伸ばした。突然訪れたにっちもさっちもいかないの体勢に、隣に座っていたチャーリーが首を傾げる。 「、新しい体操?」 「日本で流行りのヨガってやつだよ、チャーリー」 「適当言わないでよジョージ!それより・・・うわ!」 「なんか箸が転がってきたけど・・・」 「それ私のよ、ビルありがと・・・ってさっきから誰!フレッド!?」 「まあたそうやってはなんでもかんでも僕のせいにする」 「私の身に訪れる不幸の九割はね、フレッド、あんたのせいよ」 「そして残り一割は僕のせいだね」 「黙んなさい」 箸を追うのを諦めたは両肩ぎりぎりまで炬燵の中に潜り込み、さっきから悪戯をする犯人の腕を掴もうともがいた。が空輸した炬燵は日本の平均的な核家族サイズ、つまり四人用である。そこにウィーズリーの七人兄妹プラスが納まる為に、ビルがほんの少し、細工をした。おかげで少しも狭く感じない炬燵の中は、それでも八人×2=16本の足が入り乱れていることに変わりは無く、その状況を悪用して、さっきからの足の裏を誰かがくすぐっているのだ。 座る位置はから時計回りにチャーリー、ジニー、パーシー、丁度の向かいがフレッドとジョージ、それからロンで、最後にビルだ。両隣をウィーズリー家の兄コンビに挟まれたはご機嫌だったが、足の裏を攻撃されるのは我慢ならない。 十中八九フレッドかジョージと当たりを付けると、双子はさも心外だという顔をしてに抗議した。抗議すればするほど疑いは深くなったが、今回ばかりは本当に不服そうである。なにしろ双子の悪戯のプランは、準備から仕掛け、そしてねたばれまでがセットになっているのが通常だ。 「本当に違うの?」 「この監督生バッヂを賭けてもいいよ、僕らじゃない」 「お前ら窃盗罪で訴えるぞ!」 「ちょっと借りただけじゃないか」 「そうそう。熱いのはこのおでん鍋だけで充分だよ、パーシー」 ジョージの余計な一言がパーシーの怒りに油を注ぎ、ウィーズリー家のトムとジェリーはあっという間にキッチンから消えて行った。しばらくして庭向きの窓に、バッヂを飛ばし合う双子と顔を真っ赤にしたパーシーが通り過ぎたのを見て、は再び首を傾げる。これで容疑者は四人になった。 今しがた炬燵に参入したビルに犯行(?)は不可能だから、実質犯人の可能性があるのはチャーリー、ジニー、ロンの三人だ。そして、のすぐ隣に座るチャーリーと、が足を伸ばしていたのとは反対側に座るジニーには、魔法を使わない限りの足の裏への悪戯は無理である。 となると・・・ 「・・・なんでみんな僕を見るの・・・」 四人の視線を一身に受けたロンは、膝立ちで鍋の中を物色していた姿勢のままサーッと青ざめた。ロンは、普段ホグワーツでフレッドとジョージが数々の悪戯をに仕掛ける姿と、それからもうひとつ、が数倍タチの悪い悪戯をやり返す事を知っていた。手練手管の双子の兄でさえ舌を巻くの報復を、ひとつ年下で負傷中の杖を抱えるロンがやり過ごすなんて、不可能もいいところである。 「待っ、待って!濡れ衣だよ!」 「おーまーえーかー」 「ぎゃあああ殺さないでー!」 Whoooo ...mm?
「なあ、これっての靴下じゃないの?」 白目を剥いて失神したロンの横に落ちている靴下を拾い上げて、ビルはそれをの方に放る。派手な紫色にピンクやオレンジの星が散らしてある靴下は、確かにのものだった。それも、悪戯されて脱がされた左足の。 「あー!見てよビル、穴が」 「ほんとだ、ネズミが喰ったみたいだな」 「ねー(・・・・・・ネズミ?)」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「ねえロン、もうすぐ学校始まるじゃない?で、ほら、新しい羊皮紙とかインクとか?必要じゃないかな★と思って。そうそう、たまにはプレゼントもいいじゃない?え?スキャバーズがいないの?そんなのいつものことじゃない☆ねっ、それより今欲しいもの、ない?なんでも買ってあげるから!」 fin★☆★★
初めて書いたビル、初めて書いたチャーリー、初めて書いた(以下略)赤毛一家は賑やかで楽しくてひたすらワーキャードッカーン★なイメージです。ロンが可哀想だったりジニーがひとっことも喋ってなかったりビル好き過ぎだったりしましたごめんなさい!愛してる!(08/03/03 千鶴子) |