かたちのないほほえみが波間にぷかぷかとうかんでいました。やさしくほほえみあうその光は、金と緑とにかがやいています。ぷかぷかとしあわせをはきだして、わらいあっているのです。光は少女と青年の形にも、老人と少女の形にも男の子と女の子の形にも見えます。そこにはふたりいます。光の世界に二人はほほえみそんざいしているのです。
「めがみさまー。」って子供が呼びました。彼女はにっこりと笑ってくるりと回るともう人の形をとって宙に浮かんでいます。それを子供がにこにことほほえんで見上げています。彼女はそのほっそりとした手を緑の木漏れ日の中に伸ばして、何かつかむ動作をしました。そこから光の粒子が一つの形をとって現れました。子供は別に驚いたりなんてしません。だって、知っているからです。
「こんにちは、えいゆうさん。」
樹の精と手を繋いで、金の髪がにっこりとほほえみました。
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