セフィロス。あれをまたこのままひとりぼっちにしては、(…だめだ。)は強く思った。
あの孤独の中生きる(今はあえてそう呼ぼう)人間を、二度もひとりにしてはならない。
それは直感でしかなかったけれど、確実に真実に近いように感じられた。
(そうだ、私は知っていたはず。)英雄と呼ばれた彼がどんなにかひとりだったか。
あんなにやさしくほほえんだのに、戦場では凍えるほど残酷で。あの不安定な二面性は孤独からくるものだと。(実際ザックスが来てからの彼はどうだ。)穏やかに落ち着いたではないか。
そしてもっと昔、が来る より前のセフィロスはどうだ。
(…ひとりにはできない。)
は船縁から、仲間を振り返った。
みんなは呑まれるように眼下の洪水を見ている。
とぐろを巻く光の渦。そのうつくしい緑にエアリスのほほえみを見ている。
( …だいじょうぶ。)がニヤリと笑ったのに気がついて、クラウドが口を開きかけた。それを遮って、は声をたてて笑った。
「、「私の旅はどうやらここまでだ!」
ぐるりと順々に、顔を眺める。 ああ、きっとずっと忘れない。
「!」
ナナキが心細げに声をあげる。不安を嗅ぎとったのだ。(どこへ行くの行かないで!)
「だいじょうぶ。」
がゆったりと笑った。その緩やかな動作。彼女の言った終わりは、きっとこんなかんじだ。
「だいじょうぶ。いつでもここにいるからね。」
甲板を足で軽く蹴る、それだけでその体は浮き上がって。
ひどく緩慢に物事が進んで見える。緑の光を背景にがわらう。髪が散らばる。
「(…ああ!)!!!」
(どこかで彼らは予感していた。)(旅の終わりにこの子はいない。)
20070407