「なあ俺思うんだよ。その子供のために何ができるだろう、他にもきっとたくさん生まれてくる魔法使いと魔女の子供たちに何ができるだろう、俺はめずらしくも大人に育った魔法使いで、そんな俺は何かしなくてはならないんじゃないかって思うんだ。」
珍しく真剣なゴドリックに、それぞれ三人は頷いた。いつも、どこかで、感じていたことだ。
森の魔女が、そうしたように、自分たちも、なにか。なにかしなくてはならない。こどもたちのため。それはずっと誰もが考えてきたことだった。数少ない、大人になった、子供たちだから。
「…そうね。」
ロウェナがゆったりとほほ笑んだ。眼鏡越しの緑の目はすっかり落ち着きを取り戻して、あのピリピリとした空気はすっかりほどけてしまっていた。
「なにをしようか。」
サラザールが少し悪戯っぽくわらった。いつもはそうしてゴドリックと肩を組んでいたのだ。彼もまた戻ってきている。

「がっこう。」
ずうっとだんまりだったヘルガが言った。少し拗ねたようにでも仕方がないという風に言った。だってはしあわせで、かわらず私たちをあいしてる、なら仕方がないのだ。やっとヘルガも気づいたらしかった。
「がっこうを、つくるの。あの森に。」
それにゴドリックがにっこりと顔中でわらう。
「それ今俺も考えてたとこ。」「それ今僕も考えてたとこ。」「それ今私も考えてたとこ。」
きれいに重なった言葉に久しぶりの明るい笑い声が響いた。
噫やっぱり。いつだって笑顔を運んでくるのは君だったね。
ゴドリックは空の向こうの雲の下に向かってにっこりわらった。